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2012天文シリーズ

8月14日 金星食 観測レポート

5月21日の金環日食、6月6日の金星太陽面通過と続いて、8月14日には、“トリプル金”の最後を飾る金星食を迎えた。


天気の予想は困難

数日前から低気圧や前線に加え、南の海上での台風13号の発生もあり、当日の天気は、ぎりぎりまでまったく予測困難。

1週間ほど前から晴れるという予報が出ていた札幌と、沖縄へのフライトは両方確保していたが、直前になって、いずれも8月14日未明(つまり8月13日深夜)の予報は曇りに・・・。

それに加え、雨のはずだった関東に、一転、晴れの予報が出て、もうどこに行ったらいいやら・・・。

天気図をもとに分析、決定

結局、天気図や過去12時間の雲の動きを自分なりに分析し、行き先を沖縄に決定したのは、8月13日午後3時、金星食まであと12時間と迫ってから。

念のため、関東が晴れた場合のことも考えて、自宅からも撮影できるよう、カメラをもう1台セットし、最終便で那覇へと飛んだ。

深夜に沖縄本島最北端へ

那覇到着は22時20分。深夜でも対応してくれる地元のレンタカーを事前に手配していたので、手続きを済ませ、120キロ離れた沖縄本島最北端・辺戸岬(へどみさき)へ向けて出発!



鬱蒼とした熱帯植物のジャングルに、〔ヤンバルクイナのとび出し注意!〕の標識が続く辺戸岬に到着したのは午前1時15分。

空は晴れわたり、天頂には大きな天の川。時折、ピークを超えたばかりのペルセウス流星群が流れていく中、金星食までは時間があるので車中で仮眠・・・。

雨音に目覚める

が、目が覚めたのはなんと “ザザーッ”という雨の音。いつの間にか雲がたち込め、スコールのような激しい雨が・・・。熱帯特有の天候か、雨は短い時間でやんだものの、東の海面には真っ黒い雲、雲、雲・・・。

“これは失敗したかなあ・・・” と半ば諦め気分で午前2時30分。

東京ではそろそろ金星食を迎える時間となり、電話で確認してみると、“厚い雲でまったく見えない”とのこと。これは何としても沖縄で見たいと念じながら機材をセッティング。

途中、神奈川からやって来たという同年代と思われる天文ファンも加わり、月の出を待つことに。

念じながら月の出を待つ

沖縄は今回の金星食の南限にあたり、月の南縁をぎりぎりかすめるように通過していくので、その分、食(金星が月に完全に隠される時間)となる時間はたったの7分。

しかも、海面から月が昇る月の出(2時38分)から、金星食が始まる午前2時53分まではたったの15分しかなく、海面近くに雲があればアウトという厳しい条件。

そして迎えた午前2時38分。

海面に姿を現したばかりのはずの月は、黒く厚い雲に隠されてまったく見えない状態。

突然姿を現した月

せめて金星が隠れ始める潜入(2時53分)と月の向こうから再び姿を現す出現(3時00分)だけでも雲が切れてくれれば・・・。 

と、祈るような気持ちでカメラを覗き続けていると、わずかな雲の切れ間から、鈍い赤褐色の月が突然顔を覗かせ、その月の下にはギラギラと輝く金星の姿!



潜入5分前の月と金星


まさに神がかり的な演出で、潜入開始の時間、2時53分を迎えた。


第1接触。金星も半月状に欠けているのがわかる


第1接触 (部分拡大)


第4接触。月の陰の部分から再び金星が出現


みごと撮影成功!

その後も、ぶ厚く黒い雲は次々と月を隠しては現れてを繰り返したが、うまい具合に、潜入と出現の時間は途切れ途切れながらも撮影に成功!


地球照と食を終えたばかりの金星


高度が高くなるにつれ、次第に明るさを増してきた月は、きれいな地球照(地球に反射した太陽の光で月の陰の部分が暗く照らされる現象)も見せてくれた。

ところどころ雲に邪魔されながらも、ほぼすべての行程を撮影でき、満足して約11時間の沖縄滞在から帰京した。


これで2012年の天文ファン最大の話題・トリプル金はすべて観測成功!



さて残るは11月14日、オーストラリア・ケアンズでの皆既日食を待つばかり。

3つの金メダルを獲得したら、あとはダイヤモンドリングで2012年を締めたい!

/M.Nakamura



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