鬱蒼とした熱帯植物のジャングルに、〔ヤンバルクイナのとび出し注意!〕の標識が続く辺戸岬に到着したのは午前1時15分。
空は晴れわたり、天頂には大きな天の川。時折、ピークを超えたばかりのペルセウス流星群が流れていく中、金星食までは時間があるので車中で仮眠・・・。
雨音に目覚める
が、目が覚めたのはなんと “ザザーッ”という雨の音。いつの間にか雲がたち込め、スコールのような激しい雨が・・・。熱帯特有の天候か、雨は短い時間でやんだものの、東の海面には真っ黒い雲、雲、雲・・・。
“これは失敗したかなあ・・・” と半ば諦め気分で午前2時30分。
東京ではそろそろ金星食を迎える時間となり、電話で確認してみると、“厚い雲でまったく見えない”とのこと。これは何としても沖縄で見たいと念じながら機材をセッティング。
途中、神奈川からやって来たという同年代と思われる天文ファンも加わり、月の出を待つことに。
念じながら月の出を待つ
沖縄は今回の金星食の南限にあたり、月の南縁をぎりぎりかすめるように通過していくので、その分、食(金星が月に完全に隠される時間)となる時間はたったの7分。
しかも、海面から月が昇る月の出(2時38分)から、金星食が始まる午前2時53分まではたったの15分しかなく、海面近くに雲があればアウトという厳しい条件。
そして迎えた午前2時38分。
海面に姿を現したばかりのはずの月は、黒く厚い雲に隠されてまったく見えない状態。
突然姿を現した月
せめて金星が隠れ始める潜入(2時53分)と月の向こうから再び姿を現す出現(3時00分)だけでも雲が切れてくれれば・・・。
と祈るような気持ちでカメラを覗き続けていると、わずかな雲の切れ間から、鈍い赤褐色の月が突然顔を覗かせ、その月の下にはギラギラと輝く金星の姿!
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