“ロデオ(RODEO)”と聞くと、ほとんどの方は、跳ねまわる暴れ馬に跨がるカウボーイの雄姿を思い浮かべるだろう。
 |
|
ワイオミング州ジャクソンのロデオ・カウボーイ像
|
これは、サドル・ブロンコ・ライディング(SADDLE BRONC RIDING)といって、まさにロデオを代表する花形競技ではあるが、ロデオには実に7種類もの競技があり、それぞれにプロやシリーズチャンピオンがいる。
そもそもロデオは、野生や放牧している牛や馬を捕える際に、カウボーイがその自慢の腕を披露したことが始まりとされ、どちらかというと度胸試しや腕試しの要素が強かった遊び。
競技として広がるにつれて厳密なルールが整備され、現在では毎年6月から8月にかけ、ワイオミングやアリゾナ、ユタ、ニューメキシコなどの中西部を中心に、毎日のように各地で大会が開催され、夏の風物詩として外せないイベントになっている。
7種あるロデオ競技は、大きくラフストック(ROUGH STOCK)と、タイムイベント(TIME EVENTS)の2つに分けられる。
ラフストックは、暴れ馬や暴れ牛を決められた時間乗りこなす競技で、タイムイベントはスピードを競う競技のこと。それでは、2012年にニューメキシコ州ギャラップ(GALLUP, NM)と、2016年ワイオミング州コードウェル(CALDWELL, WY)で観戦したロデオ大会の画像で、それぞれの競技をご紹介しよう。
 |
|
ギャラップのロデオ大会ポスター。
期間中、10,000ドルが当選する宝くじも!
|
● プレ・イベント
中西部の地方都市にとってのロデオ大会は、日本で言うと“盆踊り大会”や“花火大会”のような夏を代表する一大イベント。

会場の周囲にはビールやジュースなどのドリンクや、ドーナッツ、フライドチキンをはじめ、記念グッズにカウボーイグッズなどたくさんの露店が並び、町じゅうの人が集まって、まさにお祭り騒ぎ。
競技が始まるまでは、プレ・イベントとして子供たちによる競技が披露される。

まだ小学生や中学生ぐらいの少年少女だが、羊に跨ったりロープで子牛を捕えたりと、このあたりでは馬に乗りこなせないと一人前とは認められないのか、既に立派に乗りこなしている。

プレ・イベントも終わり、本番を控えてグラウンドを整備するのはトラクター。

大会スポンサーが紹介された後は、星条旗を抱えたカウガールがグラウンドを一周し、全員起立で国歌斉唱。
そしていよいよ競技の開始!
● ラフストック(ROUGH STOCK)
暴れ馬や暴れ牛を8秒間乗りこなし、その美しさと跳ね方が100点満点で採点される競技。8秒に満たないうちに落馬(牛)すると失格となる。
また、空いている片手が牛や馬に触れても、自分の身体に触れても失格。
@ ベアバック・ライディング(BAREBACK RIDING)
裸馬を8秒間乗りこなす競技。一般的にロデオの最初に行われる。

A ブル・ライディング(BULL RIDING)
角のある700キロ近い大型の暴れ牛を8秒間乗りこなす競技。大会の最後に行われることが多い。

B サドル・ブロンコ・ライディング(SADDLE BRONC RIDING)
鞍のついた暴れ馬を8秒間乗りこなす競技。

● タイムイベント(TIME EVENTS)
スピードを競う競技で、牛を縛りあげるまでの時間や高速で樽の周囲を駆け抜ける時間を競う。
C ステア・レスリング(STEER WRESTLING)
逃げる牛に馬上から飛びつき、倒すまでの時間を競う競技。

D チーム・ローピング(TEAM ROPING)
2人1組のカウボーイが逃げる牛を追いかけ、投げ縄を使って一人目が牛の角に、二人目が牛の後ろ足にロープをかけ、牛が動けないよう、両側からピンとロープが張るまでの時間を競う競技。

E タイダウン・ローピング(TIE-DOWN ROPING)
逃げる牛に投げ縄をかけた後、素早く牛の3つの足をロープで縛り上げるまでの時間を競う競技。

F バレル・レーシング(BARREL RACING)
グラウンド上に三角形に置かれたバレル(樽)を高速で馬で駆け抜ける女性競技。

この他、競技の途中でマジシャンやピエロが登場したり、有名なカントリー歌手が歌を披露したりと、大会ごとに嗜好を凝らした出し物があり、深夜まで盛り上がる。
しかし、ラフストックで馬や牛が跳ね続けるのは、ベルトで腹部をきつく縛り上げられることによる苦しみや痛みから逃れるためだし、タイムイベントでも、牛をロープで縛ったり地面に捻り倒したりと、近年では動物愛護の観点から一部で批判も出ているロデオではあるが、西部開拓時代から続く伝統文化でもあり、やはりアメリカ中西部を訪れたら、一度は見ておきたい。
|