年の瀬も迫った12月26日、中東からグアムまでの広い範囲で金環日食が観測された。日本では部分日食の観測が期待されたが、あいにく全国的に天候が悪かった様子。
今回、当ツアーが観測地として選んだのはインド南部ケララ州のリゾート・ナイルズワー(Nileshwar)。金環帯の中心ライン直下で、継続時間は3分12秒。
ツアーの基点となるバンガロール(Bangalore)へは、タイ国際航空を利用。12月24日の朝に成田を発ち、途中、乗り継ぎとなるバンコクで名古屋からのお客様とも合流し、約13時間かけて定刻に到着。
移動はインド定番のトラベラー
バンガロールからナイルズワーまでは約350キロ・11時間の陸路移動となる。
実はナイルズワーから2時間ほどのマンガロール(Mangalore)にも空港があるのだが、デリーからの便が1日に2本しかないこと、冬のデリー周辺は濃霧や大気汚染で視界が極端に悪く、大幅な遅延や欠航などのリスクが非常に高いこと、インド国内線は荷物の取扱いがまだまだ雑で、機材への影響やロストバゲッジなどの不安があることなどの理由から、国際線のみで行くことができるバンガロールを選択。
しかし、350キロという数字だけを見ると、距離的には数時間でナイルズワーまで移動できそうなものだが、まだまだ道路事情が整っていないインドでは平均速度はせいぜい40キロ程度。途中の休憩や食事の時間を含めるとほぼ1日かかってしまう。
フルーツスタンドで新鮮なバナナやマンゴー、パイナップルなどをおやつに
途中、歴史的にキリスト教徒の多い南インド各地で行われるクリスマスのお祭りに伴う渋滞なども断続的にあり、ナイルズワーに到着したのは午後8時近く・・・。みなさん大変お疲れ様でした。
ご利用いただいた客室と観測スポットのプールサイド
一夜明け、いよいよ日食当日の12月26日。
深夜から朝にかけては雲ひとつない素晴らしい空が広がっていたが、日の出とともに雲が覆ってちょっと嫌な雰囲気。
日食開始は午前8時過ぎなので、特別に6時過ぎに準備してもらった朝食を済ませ、部屋の目の前にあるプールサイドの観測スポットで各自観測の準備。
観測準備
空の様子はというと、一旦は晴れ間が広がったものの、海から厚い雲がゆっくりと流れてきて、あっという間に空を覆ってしまった。
昨年、一昨年と、12月26日前後は雲ひとつない快晴が広がっていた様子は確認していたので、“ありゃ〜”という重い雰囲気の中、午前8時4分に部分日食がスタート。
その後は断続的に雲がかかったかと思うと晴れ間が出たりと、フィルターの着脱が慌ただしい撮影が続く。
(オレンジの太陽はフィルターあり、白い太陽はフィルターなしにて撮影)
“これはちょっとまずいかなあ〜”という雰囲気も漂っていたが、食分が90%を越えた午前9時15分頃になると、それまで空を覆っていた雲が奇跡的にすべて消え去り、そして午前9時24分、快晴の空に黄金のリングが出現! 第二接蝕、第三接蝕のベイリービーズも見事に撮影成功!
金環後は、ごく短時間だけ薄いヴェールのような雲がかかったものの、復円の第四接蝕まで綺麗な空での観測をすることができた。
集まってきたホテルのスタッフ
観測を終え、機材を撤収した後は、午後の時間を利用して周辺観光へ。
ハウスボートとよばれる木造船でランチをいただきながらのバックウォータークルーズを楽しんだ後は、翌日の長距離移動を控え、アーユルヴェーダマッサージで身体を癒していただいたり、オートリクシャー(三輪タクシー)の体験乗車も。
バックウォータークルーズ
オートリクシャー
日食翌日の12月27日は、再びバンガロールまでの長距離移動だが、途中のマイソール(Mysore)でランチとマハラジャの宮殿・マイソールパレスの見学。
マイソールパレス
宮殿内部の豪華な装飾
ヒンドゥー寺院のゴープラム(楼門)
午後9時にバンガロール空港に到着し、日付の変わった12月28日午前1時発のタイ国際航空でバンコクへ。定刻にバンコクに到着した後、名古屋のお客様とはここで別れ、それぞれ乗り継いでの帰国となった。
遠路はるばるやって来た南インド。過去の天候データを参考に、直近2年の定点観測ではいずれも快晴だったにもかかわらず、当日朝は曇り空。
自然現象とはいえ、ちょっとヒヤヒヤしたスタートではあったが、時間が経つにつれて徐々に雲も消え、青空の中で第二接蝕から第三接蝕を迎えることができてほっといたしました。
ご参加の皆様には、長時間の移動と、インド特有の運転マナーは、かなり身体にご負担をおかけしたかと思いますが、多大なご理解とご協力のおかげもあり、滞りなくツアーを終えることができました。
この度はご参加ありがとうございました。今後も皆様の連勝を祈念いたしております。