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■ 注意しながらゆっくりと近づいて見ると、それは朽ち果てたジープだった。
地元の人々にとっても楼蘭は幻の王国である。砂に埋もれているかも知れない宝物や文物を求めてこれまでに何人もの中国人がこの砂漠に挑み、そのまま消息を絶っているという。
ヤルダン地帯で燃料を使い果たし、SOSの旗を掲げていつ来るとも知れない救援を待ち、そして僅かな食糧と水が尽きた時、最後の望みを持って方角もわからないまま砂漠へと歩き出したのだろう。
照りつける太陽と澄み渡った青空とは対照的に、あまりにも壮絶な現場であった。
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後日、楼蘭から戻った私達の噂を聞いて、34団オアシスに住む1人の女性が招待所に訪ねてきた。
1年ほど前、宝探しに行くと言い残して弟がジープで楼蘭を目指したまま帰って来ないという。
途中で遭難したジープを発見したことを告げると、そのナンバーから、弟のジープに間違いないという。
その女性は、どうしてもそのジープがある場所に行って、弟を弔いたいと私達に涙ながらに訴えたが、二重遭難の可能性もあり、その女性には気の毒だったが、ジープがある場所を記した地図は見せることができなかった。
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ヤルダン地帯を抜けると、再び干湖底へと出た。無数の岩盤の海を走り抜けてきたランドクルーザーの車体はもうボロボロだ。
皮肉にも、今度の干湖底はふわふわの綿のような砂の層で、地盤が柔らかすぎて前に進めない。車を降りると、ふくらはぎ辺りまでずっぽりと足が入ってしまうほどだ。
数メートル進んでは止まり、そしてまた数メートル進んでは止まった。かつての藻のような植物が乾燥して砂のようになってしまったものだろう。
そして数時間の後、かつてのロプノール湖畔で、偶然にもものすごいものを発見した。
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