2013年は“彗星の年”。
当サイトでもレポートした3月のパンスターズ彗星を皮切りに、ラブジョイ彗星、エンケ彗星、リニア彗星など、例年にないほどの数の彗星がやって来るとあって、天文ファンのみならず話題になっているが、その中でも、12月初旬に大彗星になると早くから予測されていた “アイソン彗星”が、近日点(太陽再接近)を通過する11月29日に消滅したというニュースが入ってきた。
アイソン彗星は、もともとその軌道があまりにも太陽に近く、最も太陽に近づく近日点は太陽からわずか110万キロ(太陽の直径は140万キロ)の距離しかないため、その温度は摂氏2760度にも達するといわれ、氷と塵の塊である彗星の核(コア)が果たしてその過酷な環境に耐え、太陽の向こう側から再び姿を現すかどうか世界が注目していたところだが、残念ながらその雄姿は見られず、NASAによって「消滅した可能性が高い」と発表された。
核の消滅は、早くから懸念されていたことではあるが、うまく近日点を通過していれば、12月初旬には、新月前後で月明りもない漆黒の夜空に、その壮大な尾を伸ばす “ほうき星”を見られたであろうが、今となってはもう“たられば”の話になってしまった。。。

アイソン彗星の軌道と位置予測(国立天文台ホームページより)
私も、11月中旬から天気のいい日を選んでは東の空が開けた外房や東伊豆に足を運んで、月明りに邪魔されながらもまだ尾が伸び切らないアイソン彗星の撮影を続け、無事に近日点を通過してくれることを楽しみにしていたが。。。
【11月17日のアイソン彗星】


【11月24日のアイソン彗星】


いずれも、かすかにではあるが、右上に伸びる尾は確認できる。11月25日以降は、太陽に近いために肉眼での観測ができず、11月24日未明がアイソン彗星の見収めとなった。
(終)
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