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金環日食 |
2010年1月15日、中央アフリカからモルディブ〜インド〜スリランカ〜ミャンマー〜中国という広い範囲にかけ、金環日食(ANNULAR ECLIPSE)が観測された。
数ある観測候補地の中から各種データを分析し、弊社が観測地として選んだのは・・・
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(2010年1月15日)金環日食帯 |
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観測地はミャンマー 日食データ |
・乾季にあって晴天率が高い。
・国際線の乗り継ぎのみで行ける。
(※海外の国内線は、スケジュールの大幅な変更があったり荷物の取り扱いが粗雑な場合もあるため)
という条件を満たしたミャンマー第二の都市・マンダレー。関西から昆明乗り継ぎで中国東方航空で行くことができる。
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ご参加いただいたお客様は最終的に8名様。さすがにミャンマーまで日食を観測しに行かれる方ともなれば、いずれも日食ハンターとでもいうべき猛者揃い。全員が昨年の皆既日食も経験されているとのこと。
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一路マンダレーへ・・・ |
1月13日 14:40に関西空港に集合。
当日は全国的に寒波が訪れ、強風の影響で羽田からの便も遅延し、北陸方面は一時的にJRがストップ、関空でも雪が舞うという荒れ模様ではあったが、そこは海外旅行経験豊富なみなさんのこと、時間通りにお集まりいただき、一路昆明へと出発。
途中、上海で入国手続きを済ませ、6時間かけて昆明へ。
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昆明
昆明は、一年中温暖な気候で知られる地だが、寒波は中国大陸にも影響を及ぼしており、“春城”とは名ばかりの気温2℃!
翌日午前中に訪れた世界遺産・石林は、寒風吹きすさぶ中での見学となったが、その驚異的な自然の造形にみなさん驚かれていたご様子。
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世界遺産・石林 |
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そして午後からはいよいよマンダレーへ向けて出発! 昆明からミャンマーへの路線は海外ではほとんど知られていないからか、外国人の搭乗客は当ツアーのみだったが、中国人観光客で約70席の機内はほぼ満席。
昆明からマンダレーまではたった1時間半のフライトだったが、気温2℃の昆明から到着したマンダレーは28℃! あっという間に真夏のミャンマーへと到着した。
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昆明から空路ミャンマーへ |
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日食の前後は充実のマンダレー観光 |
日食ツアーの場合、移動交通機関や予期せぬトラブルなどを考慮して、前日のうちに観測地に入ることは鉄則。3日目午後の金環日食を挟んで、2日目午後・3日目午前、そして4日目の午前中は、マンダレー及びその周辺の観光と観測候補地の下見を楽しんでいただいた。
今回ご案内した魅力的な観光地と観測候補地をご紹介する。
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インワ
1364年からの約400年間にわたり、ビルマ族王朝の都として栄えた町。現在は非常に寂れた田舎町の風情だが、至るところに仏塔や城壁などの王朝の面影を見ることができる。
インワの町は、大型車の立入が一部制限されているため、対岸から小舟に乗り換えてミンッゲー川を渡り、そこから先は馬車での観光。

マハーアウンミェ僧院 |
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パレスタワー |
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ミンッゲー川を渡る |
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馬車での観光 |
当時としては珍しい煉瓦造りのマハーアウンミェ僧院や、総チーク材の贅沢なバガヤー僧院、1838年の地震で傾いてしまったパレスタワー(インワ斜塔)などを見ることができる。
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ザガイン
町中が僧院と仏塔に埋め尽くされているシャン族の旧王都。町の北部に連なるザガインヒルからの眺めは素晴らしく、今回の観測の候補地のひとつ。

ザガインヒルからの眺め
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ザガインヒルの寺院にて |
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アマラプラ
“不死の町”という意味をもつインワに続いて王都が築かれた町。
1000人近い修行僧が集まるマハーガンダーヨン僧院や160年もの歴史をもつ世界最長の木造橋・ウーペイン橋などが有名。
特に、午前10時半から始まるマハーガンダーヨン僧院での修行僧の食事風景は圧巻だ。

世界最長の木造橋・ウーペイン橋
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ウーペイン橋と少女 |
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修行僧と食事風景 |
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マンダレー
ミャンマーのほぼ中央に位置する国内第二の都市。
1885年にイギリスに占領されるまでの約25年間、最後の王朝が置かれた。
街は濠に囲まれた王宮を中心に縦横に走る道が整然と整備されており、監視塔から街全体が見下ろせる旧王宮をはじめ、丘全体が仏教の聖地として崇められているマンダレー・ヒルや、世界最大の教典ともいわれるクドートォ・パゴダ、チーク材をふんだんに使った芸術作品のようなシュエナンドー僧院、黄金に輝くマハムニ仏が鎮座するマハムニ・パゴダなど、見どころも多い。
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そして金環日食へ! |
金環日食当日。午前中までに観測候補地の下見を済ませていただき、最終的に参加者の皆さんが選択された観測地は“ホテルのプールサイド”。
早速ホテルと交渉をして、プールサイドの最も南側が開けた場所を確保できるよう了解を得たが、他にもいくつかのツアーがこの場所で観測するという情報を得ていたので、午前中の市内観光の順番を入れ替え、午前10時過ぎに一旦ホテルへ戻り、まだ誰も到着していないプールサイドで、一番北寄りの日食全体が見渡せる芝生を確保!
三脚などを簡単に設置し、念のために2名のガイドのうちの1名をプールサイドに残し、昼食へと向かった。
昼食を済ませ、ホテルへ戻ったのは日食開始まであと50分と迫った12時30分。各自日本から持ち込んだ機材を慣れた手つきで設置し、そして13時25分、気温31℃の見事な晴天の下、いよいよ金環日食のスタートとなった。
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全員興奮状態に
“日食見て何が面白いの?”と、まったく興味をもたなかったホテル従業員も、食が進むにつれ、参加者より借りた日食グラスを通して見る三日月型の太陽に感激し、全員興奮状態!
参加者のカメラや望遠鏡を覗いては感嘆の声を挙げていた。。。
そして、15時4分に第2接触。月は太陽に完全に飲み込まれ、天空に黄金のリングが! 木漏れ日も完全にリング状となり、その場に居合わせた全員が興奮のピークに!
日食観測の経験がほとんどないミャンマーでは、今回の金環日食は結構話題になっているらしく、観測中には、地元の雑誌記者が特集を組みたいからと、取材にやって来たり、(ミャンマーで)非常に有名な俳優が、“覗かせて欲しい”とやって来たりと、通常の観測とはちょっと雰囲気が違う和やかな雰囲気にも包まれた。
(ご協力いただいた参加者の皆さま、ありがとうございました)
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15時4分 第2接触 |
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金環中の木漏れ日、完全にリング状 |
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金環時には日差しも和らぎ気温も少し下がったが、第3接触を過ぎると、再び太陽はその姿を徐々に取り戻し、それに伴って気温も再上昇。そして太陽面を横切って行った月は北西から抜け出し、16時33分、3時間の天体ショーを終えた。
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15時14分 食分90% |
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16時25分 食分10% |
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最後の15分ほどは、高度が13.6度にまで下がった西の太陽に、夕刻特有の薄い雲がかかったが、ほぼすべての行程を雲ひとつない完璧な状態で観測していただくことができ、参加者のみなさんにもご満足いただけたのではないかと思う。
この日の夕食時は、コロナ・ビールとはいかなかったが、マンダレー・ビールにミャンマー・ウイスキーで乾杯となった。
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ご参加いただいた参加者のみなさんは、さすがに日食を追って海外へ飛びまわっておられるハンターだけあり、とても海外旅行慣れされておられ、数々の場面で助けていただき、心より感謝を申し上げます。
ありがとうございました。(終)
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