| 今回の皆既日食はロシア北極圏から始まり、グリーンランド〜アイスランドを経てイベリア半島を横断するもので、スペインで観測されるものとしては114年ぶりとか。しかも日本のお盆休みと見事に重なっていることもあり、募集開始とほぼ同時に定員に達するご予約をいただいた。
素晴らしい観光地や世界遺産が全土に散らばるスペインで今回ご案内するルートは、基点となるマドリードを中心に、反時計回りでトレド〜コンスエグラ〜クエンカ〜ブルゴス〜観測地サエチョレス〜セゴビアと巡る総走行距離1,500キロに及ぶ8の字ルート。

ツアールート※Googleマップ
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| ■ 旅のはじまり・・・
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8月8日(土)夜にターキッシュエアラインズにて羽田を発ち、イスタンブール乗り継ぎにて翌9日午前中にマドリード着。
長時間のフライト移動の後は、軽い運動を兼ねて王宮からマヨール広場を横切ってプエルト・デル・ソルまでの散策。
続いて2時間ほどホテルにてご休憩いただいた後は、老舗タブラオ「トーレス・ベルメハス」にて本場のフラメンコを鑑賞しながらのディナーショー。
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マドリードのシンボル、プエルト・デル・ソルの「クマとイチゴノキ」
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快適な最新大型バスの旅 |
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翌8月10日(月)、ここからのスペイン滞在中はすべてバス移動。
大型バスをおひとり様につき2座席ご利用いただくので、ガイドと添乗員を含めて総勢26名のツアーはちょうど満席。
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| マドリードから南下し、まずは世界遺産「古都トレド」へ。
スペイン三大カテドラルのひとつ、トレド大聖堂の荘厳な建築美を見学した後は世界三大名画のひとつとされ、門外不出の「オルガス伯の埋葬」を収蔵するサント・トメ教会へ。
私自身、この名画を鑑賞するのは3回目だが、今回驚いたのは、これまで頑なに禁止されていた撮影がなんと解禁(!)されていたこと。
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エル・グレコの最高傑作「オルガス伯の埋葬」 |
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■ 歴史的城塞都市クエンカへ
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三方をタホ川に囲まれた古都トレド |
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タホ川に三方を囲まれたトレド市街を一望できる丘に建つ邸宅シガラルを利用したレストランでランチを済ませた後は、聖書に次いで世界歴代2位の発行部数を誇るセルバンテスの小説ドン・キホーテの舞台となったコンスエグラに立ち寄り、「歴史的城塞都市クエンカ」へ。
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ドン・キホーテ物語にも登場するコンスエグラの風車 |
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今回のツアー参加をきっかけに、昔読んだドン・キホーテの物語を改めて読み返したというお客様も。
旧市街がまるごと世界遺産というクエンカでは、修道院を改修した国営ホテル・パラドールに宿泊。目の前に屏風のように広がる絶壁に立ち並ぶ驚異的な建築群の眺めは圧巻のひとこと!
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絶壁に立ち並ぶ歴史的城塞都市クエンカの建築群 特に朝陽を浴びた姿が美しい
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| かつての修道院を改修した国営ホテル「パラドール・デ・クエンカ」 |
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皆既日食前日となる8月11日(火)、まずはスペイン三大カテドラルで世界遺産「ブルゴス大聖堂」のあるブルゴスへ。
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世界遺産・ブルゴス大聖堂 |
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今回は日没直前の低空での皆既のため、観測地は西の視界が広く開けた場所が絶対条件。
それでも実際の太陽高度はデータ上の数字だけではなかなかイメージできないため、ブルゴスの観光を終えた後は、観測地の下見と太陽高度の確認のため、レオン州サエチョレスへ。
スペインを含むEUはドライバーの実働運転時間や休憩時間、拘束時間に関する法令が非常に厳しく、サエチョレスの観測地に日食終了時間(21時21分)まで滞在すると、ホテル到着が深夜になり、規定の制限時間を大きく超えてしまうため、ブルゴスで同サイズのバスをもう1台用意して乗り換えていただく方法を取った。
マドリードからここまで乗ってきたバスは、大きな荷物を積んだまま先に宿泊ホテルへ。
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| ■ まさかの新たな山火事発生…
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8月8日に新たに発生した山火事
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今年の西ヨーロッパは例年以上の猛暑と乾いた偏西風の影響でスペイン各地でも山火事が頻発。出発1週間ほど前までは、マドリードやレオン周辺でも大規模な山火事が発生し、日本でも連日報道されていたほど。
8月に入り、スペインではほとんど鎮火されたとのことだったが、実は日本を発った8月8日に新たな山火事が発生。しかもそれが当ツアー観測地から川をはさんだほんの数キロ先の山林で、更に運が悪いことにモロに日食の方角という最悪の事態。
8月10日にマドリードを出てから、観測地として確保しているレストランのマネージャーとは頻繁に連絡を取り合い、「ほぼ消えているし、煙もほとんど影響ない」という報告は受けていたものの、一般にいう「晴天」と日食観測・撮影をされる方が求める「晴天」とはまったくレベルが異なるし、1日1回の更新ではあるが、Googleマップにはずっと「深刻な火災」という表示が出たままで、正確な情報がいまいち掴みきれないこともあり、まずは予定通り、現地へ行ってみることに。
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■ 祈りが通じた・・・
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| そしてブルゴスを出て2時間。明日の第一接触となる19時32分を少し過ぎた頃に観測地に到着。さっそく山火事の方向を双眼鏡で目視し、山肌は全体が黒く焼けているが、完全な鎮火と、煙も一切出ていない状態であることを確認。
心配していた煙の臭いもまったくないため、明日は当初の予定通り、ここサエチョレスでの観測を決定。
今回のツアー造成にあたり、2年前にレオン州内で7ヶ所ほどの候補地を巡り、最終的に2ヶ所を確保。万一の山火事などの事態に備え、サエチョレスの観測地を使えないと判断した場合は、代替観測地として100キロほど離れたビシャルパンドのロードサイドレストランを用意していたが、もともと短い皆既時間が更に20秒も短くなってしまうため、なんとかそれだけは避けたいと祈っていたのが通じたのか、ギリギリ踏みとどまった。
※万一の場合の代替観測地としていたビシャルパンドのロードサイドレストラン
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| ■ 快晴の空の下、深紅に輝くプロミネンス
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| そして迎えた日食当日8月12日(水)。東の低空にわずかに雲があるものの、ほぼ快晴の1日の始まり。昨夜はホテル到着が深夜となってしまったが、観測地のサエチョレスに至る道は1本道なので、万一の渋滞のことも考え、早めの午前9時30分に出発。
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途中、心配していた渋滞はまったくなく、約1時間半でサエチョレスに到着。広いテラスの一部をチャーターしたレストランでは、昨日の夕食に続いて、昼食と夕食の計3回の食事を予定。
失礼ながら、田舎にあるレストランにしては雰囲気、スタッフ、そしてお料理も思った以上にしっかりとした対応に感謝。
日食は第一接触19時32分から第四接触21時21分(実際は第四接触前の欠けた状態で日の入りを迎える日没帯食になることは前日の下見で確認済)までで、ちょうど夕食時間と重なるため、この日は昼食をメインとし、夕食は軽めのご用意とさせていただいた。
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8月12日 ホテルから眺める日の出
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観測地レストランの当ツアー用スペース |
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全員分の折り畳み椅子もレストランから借用 |

エスラ川に面した広々とした観測地でそれぞれ観測準備 |
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観測準備 |

日食当日もバスの規定時間を超えるため、行きと帰りで別々のバスを用意 |
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昼から午後にかけては北西の空に多少の雲が出たものの、夕刻を過ぎたあたりから完全に消え、全天にわたっての快晴!広々とした草原には当ツアー以外に海外からの観測グループはなく、地元の方と思われる家族連れやグループが多少やって来る程度。川に面しているとはいえ、やはりこの夏の猛暑は厳しく、気温は摂氏35度を超え、陽射しは容赦なく肌を射す。機材をセットした後は日陰やバスの中や、冷房の効いたレストランなどで、それぞれ過ごしていただいた。 |
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| しかし、ここで大きなトラブルが発生!
カウントダウンするためのPCの内部時計が熱の影響で狂ってしまい、ソフトと連動しない事態に。カウントダウンは撮影やフィルターの着脱のタイミグを計るためにはとても重要な要素で、これがあるから安心して撮影ができると言ってくださるお客様も多いが、それがまさかの事態…
しばらくパソコンの再起動や設定を繰り返して回復を試みたがうまくいかないので、観光用に使用していたガイドレシーバーを急遽代用し、肉声でカウントダウンすることに。ただし、もともと今日は観光の予定がないため、レシーバーを持参いただくご案内をしておらず、お持ちだったお客様のみと対応となってしまった。
PCはこのような過酷な炎天下で使用するような想定で作られていないことは承知しているが、これまでは自作の日除けシェードなどを使って直射日光を避ける対策を取ってうまくいっていただけに、今回のこの事態はちょっとショックであった。カウントダウンありきで撮影準備を進めておられたお客様には心よりお詫びいたします。
思いがけないトラブルはあったものの、19時32分45秒、世紀の天体ショーの始まり!
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19時32分 第一接触直後

20時00分 食分50%

20時25分 第二接触直前の細い太陽

20時28分13秒 第二接触

20時28分13秒 第二接触時のプロミネンスと彩層

20時29分07秒 食の最大時のコロナ

20時29分59秒 第三接触時のダイヤモンドリング

20時30分 第三接触直後の細い太陽

21時03分 日没直前の風景

21時15分 欠けた状態で沈む日没帯食
プロミネンスの活動のためか、日没直前の低空での皆既だったためかはわからないが、黒い太陽を取り巻く深紅のプロミネンスの美しさは、これまでの皆既日食と比較してもひときわ印象的なものとなった。
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| ■ 好天に恵まれた皆既日食を終え、最後の世界遺産巡りから帰国へ
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高さ30メートル、幅2.4メートルの水道橋
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すべての行程が完了した後、午後10時にサエチョレスを出発。ホテル到着はほぼ日付が変わる頃になったため、翌8月13日(木)は午前10時30分にホテル出発。途中、世界遺産の町セゴビアに立ち寄り、名物コチニージョ(仔豚の丸焼き)のランチ後、スペイン随一の規模を誇る水道橋から「カテドラルの女王」とよばれるセゴビア大聖堂を経てアル・カサルまで町を散策。
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「カテドラルの女王」セゴビア大聖堂
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「白雪姫のモデルとされるアル・カサル
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マドリードへの帰路、スペイン初のアウトレット、ラス・ロサス・ヴィレッジにてお買い物をお楽しみいただき、午後7時にマドリード着。4日間かけてラ・マンチャ州とレオン州をぐるりと周遊する行程は無事帰着。夕食はスペイン名物のタパス料理へご案内。皆既日食観測の成功を祝ってコロナビールの手配を希望したが叶わず、スペインの生ビールとワインの乾杯となった。
そして8月14日(金)はあっという間のスペイン最終日。世界三大美術館で、一帯の世界遺産の構成要素のひとつでもあるプラド美術館を訪れ、トレドの「オルガス伯の埋葬」と並んで世界三大名画に挙げられるベラスケス作「ラス・メニーナス」やゴヤ作「1808年5月3日」「着衣のマハ」「裸のマハ」をはじめとする世界の名画を鑑賞の後、空港へ。ターキッシュエアラインズにてイスタンブール乗り継ぎ羽田へと予定通り帰国した。
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